嵯峨嵐山へぶらり散策(2)

久しぶりに京都散策へと出かけたのも若いころに友人の影響によって塔頭に少しばかり関心があったせいもある。
今回は天龍寺塔頭寺院、宝厳院(ほうごんいん)と弘源寺(こうげんじ)を回ってみようと思った。
と言っても清凉寺(嵯峨釈迦堂)の釈迦如来が目的で嵯峨嵐山に来たわけで、少し足を延ばしての拝観となった。
さすがに天龍寺界隈なので観光客であふれている。
拝観も気ままにはできまいと思っていたが、天龍寺境内や庭園はすごい人だったがこちらはひっそりとして少々気抜けがした。
しかしながらゆったりと庭園を見て回れたのはありがたい。
この塔頭は創建時は上京区にあったらしいが応仁の乱に焼失しその後弘源寺の境内に移転し、後現在地に再興された由。
ここも十一面観世音菩薩が祀られている。
この庭園は回遊式山水庭園「獅子吼の庭」として知られており、なんでも仏が説法するという意味で自然の中で人生の心理、正道を肌で感じることができる、と言われている。

秋には紅葉が見事だそうだが、今の時期は木々と苔の緑が見事な美しさを演出している。

ここを出てすぐのところに弘源寺がある。本尊は観世音菩薩。
こじんまりとした山門で大本山天龍寺塔頭寺院とは思えない佇まい。

室町幕府管領であった細川家開基のお寺で創建時は小倉山の麓にあり、二尊院、亀山にいたる広大な寺領をもっていたらしい。
本堂に入ると京都四条派を伝える日本画竹内栖鳳とその一門「上村松園、西山翠嶂、徳岡神泉、小野竹喬、池田遙邨」ほか多くの作品が掲出されている。
山門を入ったすぐそばに毘沙門像がある。念願成就の功徳があるとか。

ここの庭も枯山水庭園「虎嘯の庭」と言われ清楚な景観を呈している。
あまりの静けさにこの庭の縁でごろっと寝ころび一息入れさせてもらった。

実に充実した時間を過ごせ大満足で後にしたが、帰り際に受付の人に“川向うの法輪寺さんに行かれますか”と言われ何があるのかを聞くと“境内から眼下に京都の町や大文字山が見えますよ”、と教えられた。
まだ日も高く好天につられもう少し歩こうと思い渡月橋まで向かった。
この橋はいつだったか台風で橋が流されそうなことがあったが、今は観光客の往来で大賑わい。歩道が狭く交差する人が道路にまであふれ出ている。
たどり着いたが、山門入り口の階段を見て二の足を踏んだ。

久しぶりに歩き周りさすがに疲れていたので階段には躊躇した。この日は十三参りのためたくさんの親子がお参りに来ていたので、その様子も気になったので気合を入れ踏み出した。

境内はきれいな着物姿の女の子や正装姿の男の子が両親や家族と共々お参りしていた。境内は聞いた通り高台にあり、街が一望できる。
風が気持ちよく疲れがすっととれたようだ。
ふたたび山を下り、橋を渡り嵯峨嵐山駅へ向かう。
道中、出店や土産物屋さんが所狭しと軒を並べ、行きかう客は勝って勝手におしゃべりし、口にものをほおばりにぎやかさは格別。
私も昔に戻った気分でバナナを食べながら、のんびりとそぞろ歩き。
駅までの帰り道は往きと違い観光ルートのせいか人の流れが途切れない。
帰りの電車も京都駅に向かうにつれ混雑しだしたが乗客のマナー良しのお陰で京都駅までゆっくり座れた。
無事帰宅したがこんなに長時間屋外で歩き回ったのは何年振りか。
ひさしぶりに有意義な時間を持てたことに感謝!