花の寺「円照寺」へ

雨が続いてうっとおしい日が多かったがひさしぶりの好天につられこの日曜日にぶらっと出かけた。
いつだったか新聞にスイフヨウが見ごろのお寺が紹介されていたのを思い出し出かけることにした。
場所はJR加古川駅からバスで約30分に位置する広尾というところ。
加古川駅で下車,神姫バスを利用して現地へ向かう。
ネットの案内を勘違いして終点まで乗車、そこから歩くことおよそ40分、明るい日差しの中しっかり汗をかいた。
田畑一面に稲穂が実り風にたわわにゆれている。
そして遠くを見れば緑豊かな山々が青空にくっきりと映え見事な風景。

まさに天高く秋を感じさせてくれる澄みきった中、野道をのんびり楽しみながら目的地まで向かったもののひとりも出会わず少々不安を覚える。
途中やっと人を見かけたので道を聞くと丁寧に教えてくださった。
ようやく白塀から顔を出している白い花が見え、ほっとする。
お寺はこじんまりとした佇まいで、境内に入るとたくさんの木々が本堂を囲むように植栽されている。
この時期、お寺自慢のスイフヨウが見てくれとばかりに咲き誇っている。


境内のスイフヨウに見とれているとご住職が「お茶でもいかがですか」と声をかけてこられた。
本堂に観覧席があるというので案内され、一服させてもらった。
スイフヨウの白い花が陽の光に映えきれいに光っている。
しばらく話していたら住職が“花の色が変化してきたでしょう”と言ったので
改めてみるとうっすらピンク色に変化してきている。
夕方になると赤くなりしぼむそうで、昨日の花が紅にしおれていた。
お酒を飲んだ時のように徐々に顔色が赤みを帯びてくるのに似ているということで酔芙蓉と書かれる所以です、との由。
ここは四季折々の花が咲き誇ることで知られているようだが、この時期は花の見ごろとしてはさびしいとのことで残念な気がした。
住職はなかなかの話好きで季節ごとに咲く花をアルバム持参で熱心に説明してくれた。NHKや民放TVニュースでも放映された収録も見せてもらったが花の寺としてかなり知られているようだ。
突然ころころした猫がなついて寄ってきたが、ずいぶん人に慣れている様子。
聞けばお寺の飼い猫で住職がかわいがっている看板猫、結構来訪者がブログで紹介しているらしい。名前はらんちゃん。

境内をひとまわりしたが今は時期的に花の少ないころなので華やかさはなかったが、ヒガンバナが植わっていた。
其れも初めてみる黄色い花。真っ赤な花はよく知られているがこれにはびっくり、ここのお寺でしか見られないらしい。

時期も過ぎつつあるのでわずかしか咲いていなかったがカメラに収めた。
春、夏は花の盛りなのでそのころに来ればまさに華やいだ風景だそうだ。
夏は境内全体が紫陽花の花で覆われるようで、種類も数も他所に比べ一番多いと自慢されていた。
帰り際に豊臣秀吉が中国攻めの時に陣鍾として使い中国大返しの際にここに残していったと伝わり市の文化財に指定されている梵鐘を拝見した。

周辺は本当に静かで、時の経つのを忘れさせてくれる。
帰りのバスの時刻まで本堂で気ままにくつろがせてもらい寺を辞した。