古都 奈良のもっとも古い町“ならまち”散歩

ふと古都 奈良に足を運んだ。近鉄なんば駅より終点奈良駅まで約45分。

駅を出るとさほど“いにしえ”は感じられないが
駅を曲がったすぐの商店通りを抜けると、やはり昔の香りがただよってくる。

石畳の通りを歩いてゆくと左に興福寺の塔が見え、右手には猿沢の池
さすがに観光客や若者のグループがあちこち、観賞物を求めてぞろぞろ。

ここまではごく普通のコースのようだが、猿沢の池のほとりを少し歩くと
細い路地のような道が見え、ちょっと観光道ではなさそうな感じで、気付かず通り過ごしそうになる。

この道を起点に奈良で最も古いとされる“ならまち”がある。

いや、通りを歩いていくと驚きと感動が相まって、何というのかなつかしさと憧れに心をときめかせてくれる。
全て、この町を見て回るのには少々時間がかかる
その中でも、名前から気に入った町家があって“ならまち 格子の家”がそれだ。

玄関を入るとすぐに小さな前庭があり、奥に広く「うなぎの寝床」風のつくりで、京都のまち家の感がある。

家の中ほどに坪庭がこしらえられなかなか趣がある。

この“ならまち”にはこのような古風なつくりの町家を改造して、郷土品のお店やカフェ、食事処等々

昔を残して、うまく現代と調和させた町並みを作っている。

一つひとつ探訪したいとは思うものの、そうもいかず、また時間のある時にと思いつつ散策した。

格子の家ではお花の個展を観賞し、

また昔ながらのお菓子屋さんに足を踏み入れ、子供の頃の思いにしばし刻を過ごした。

またこの近くには私の好きな日本酒製造の蔵元 今西清兵衛商店があり、
これも奈良の酒作りの伝統をいかんなく発揮し、造り続けられている。
やはり、歴史のある町並みはいつの時代にも、人それぞれの郷愁を誘うものがあり
日本人の心を癒してくれる大切な宝だと思う。

この町(といっても行政区分では奈良町は存在しないとのこと)がいつまでも、
古のたたずまいを残しておいてほしいと願わずにはおられない。

T.Ono