津軽三味線に魅了されて…−酒蔵吟遊コンサート−

先週、知人からお誘いを受けて神戸の酒心館で津軽三味線の集いにご一緒した。
津軽三味線を聞くのは本当に久しぶりで、北海道へ一時仕事で出向いた折に何回か聞いた事があったが、今回はそれ以来のことで楽しみにしていた。

会場は「神戸酒心館」日本酒の蔵元“福寿”で有名だが、ここの会場は文化ホールがあり毎月多様なイベントを行っている。
そのひとつが今回の津軽三味線を聞く催しだ。
この酒心館ホールは酒蔵を改装したようで、木の暖かみあふれる優しい雰囲気をもっている。(150名位が入れるそうです)

今回の演者はこの道35年、国内は言うに及ばず世界各国を巡り、精力的に日本の文化を広めておられるとのこと。
この方は、岡田修さんと言うのだが、見た目はなかなか精悼な顔つきをしておられるが、奏でる弦から放たれたる音色は
剛と柔を見事に織り交ぜた、それでいて全体に繊細なそしてやわらかな響きを感じさせてくれる。

心の中までジンとくる。そう、身体全体に思いが流れてくるようで、気持ちが高まり涙が溢れ出てくるほどに魅了された。

舞台の装飾は実にシンプルでバックにねぷた絵のパネルが2枚セットされているだけだが、ライトの演出にそれが映え、
いかにも津軽の昔を想起させてくれる。

もともと津軽三味線は、新潟地方の越後ゴゼ(瞽女)が始まりのようで、それが北へ流れ津軽地方に伝わり
門付け芸として主に男性の視覚障害者が弾いていたようだ。
基本的にその音色はさびしく、切々と語りながらの唄であったようだ。
しかし三味線の出す音と少し違っているようで、静かなやわらかさでなく、どちらかというとバチで叩く、
打つような演奏法らしく、だから緩急が非常にはげしい感がする。

音の出る太鼓の部分は、現在は明るく華やかな雰囲気が好まれるので、硬く強力に張って高い音の出るように作られているが、

昔はもっとゆるやかに皮を貼り、少したるんだ状態で弾かれたとのこと。
昔のものと今のものとの音色や響きを比べて弾いていただいたが、やはり三味の響きには差があり、
私には昔様の方が好ましいと思っているが、今様は明るくハイテンポに合うように高音が強く出るように作られている。

バチ(撥)は、べっ甲製が最高との事。


そして1時間30分弱、岡田修さんの津軽三味線に堪能させられた次第。
津軽じょんから節(じょんがら節と言う方が知られているようだが、岡田さんはじょんから節と濁らずに話されていた)、
よされ節等、弾きはさりながら、また本当に魅力的ですばらしい声量にこれまた絶賛。
まことにもって至福のひとときを過ごせたことに大満足。

小休の折に鏡開きがあり、蔵元提供のグッドタイミングの升酒を頂き、いやいやこれまためでたやな。


※イベントのチラシです。