出世魚

稚魚から成魚までの成長段階に呼び名が変わる「出世魚
よく聞くのが「ブリ」や「スズキ」。
これらの魚の地域によって呼び名が変わるコラムが日本経済新聞に掲載されていた。
出世魚と呼ばれる魚が成魚になるまで、これほど地域によって変わるとは。
ところで出世魚の定義なるものがあるという。
その条件が「成魚が“ありがたい”魚であること」
ブリは古くから年を越せることを祝う「年取り魚」として年末年始には欠かせない食材で、タイと並ぶ縁起のいい魚であった。
スズキは白身魚を珍重する西日本を中心に人気が高く、「春のタイ」「冬のヒラメ」「夏のスズキ」は、三大白身魚と呼ばれている。
マグロも呼び名が変わるが、明治時代まで肉に血の気が多いので高級魚扱いされなかったようだ。
私の子供の頃、マグロのトロは大抵の家庭で捨てていたようで赤身が好まれていた。そのせいか今でも、トロは余り好きになれない。
こんな事情で出世魚の仲間に入れてもらえなかったとの事。
各地のブリ、スズキの地域毎の呼び名を下表で参照してみてください。
ちなみに、ブリの幼魚「ワカシ」は若衆から、「ハマチ」は浜が町のようににぎわう夏にとれることから名付けられた由。
こんな呼び名も成魚になると、名前はひとつで表現される。
これは全国統一の標準名が必要となったため。
日本魚学の祖とされる東大の博士が標準和名をつけ、日本初の魚図鑑に収められている。
西洋学問に追いつき研究体制を築き、学問向上のために統一されたようだ。
こうなると成魚の名前が統一されれば幼魚を呼ぶ名前も“1センチのブリ”“3センチのスズキ”と言えば研究上不都合がないということ。
そして今では幼魚名は統一されることもなく、そのままの残った次第。
しかし、出世魚の呼び方、これほど地方によってまちまちだとはびっくりながら地域独自の特色が出ているようで親しみが湧く。
この呼称はずっと残しておいてほしいものだ。