大阪弁のおもしろさ─大阪弁駆使の小説

書店で変わったタイトルが目について手に取った。
裏表紙のあらすじを読んで興味が沸いたので購入。
大阪を舞台にしたストーリーで、物語は今問題となっている保険金殺人まがいをテーマにしたような小説で、タイトルは「後妻業」。
読みだすと大阪弁丸出しのなんとも凄まじい会話の連続で話が進む。
高齢資産家を食い物に生業をしている二人の主人公が結託し、老人から資産を狙っての駆け引きが笑わしてくれる。
全編の半分ぐらいが大阪弁の掛け合いの会話が傑作で読みだしたら止まらない。
もっちゃりしている会話も味はあるが、スピード感のある軽妙且つ強烈なことばのやりとりは大阪弁のだいご味でド迫力満点。
大阪弁ならではと思わせ、とにかく面白い、思わず吹き出すこと多々。
一時、漫才ブーム時に大人気だった漫才師のあのテンポ、スピード感を思い出してもらえればいいかも。
作家黒川博行氏の作品は気が付けば数冊読んでいるが、いずれも大阪が舞台で大阪弁を自由自在に表現してうまいな!と思っていた。
同様にもう一人極道、刑事そして裏社会をテーマを得意とする作家浜田文夫氏がいるが、彼の作品はほとんど読んだが、こちらも見事に大阪弁を駆使し、登場人物の会話がリアルすぎるぐらい見事に物語が展開していく。
迫力ある会話、そしてテンポ、ストーリーのスピード感、いずれも会話が大阪弁丸出しの迫真の構成だ。
大阪人でないと言葉の彩がわかりづらいことがあるが、私にはぴったりとくる傑作である。
大阪弁吉本新喜劇の役者さんたちが大人気になったおかげで結構メジャーな方言になった気がする。
大阪弁を自在に使うことで有名な作家田辺聖子さんもハードボイル的ではないのでこのお二人は実に希少な作家だと思っている。