“ロボット技術の進歩とこれからのロボットの未来”の公演を聞いて

過日、新大阪駅前にある大阪ハイテクノロジー専門学校で来春4月に新しく開講する“ロボット学科”についての講演があったので参加してきました。

講師は、大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻の石黒浩教授で、ロボット工学の第一人者と呼ばれている方です。
石黒先生のコピーロボットは、TVや雑誌でも有名で、本当にそっくりで驚きです。
このロボットはATR(株式会社国際電気通信基礎技術研究所)で作られたもので、実在人間型ロボットのプロトタイプで『ジェミノイド』と呼ばれており、双子を意味する「gemini」と“〜のような”を意味する「―oid」から作られた言葉のようです。
ロボットの魅力は人間研究そのもので、人間を理解しないとロボットは生まれない、人間に興味を持つことが大事です、とおっしゃいます。

また、夢に支えられない技術開発は発展しない、だから常に夢を追いかけ、それを実現するべく研究に取り組んでいる。いつの時代も技術開発は止められない―人間が要求し、追い求めているのが新しい技術である、こればかりは止められない、ともおっしゃっています。
コンビニのレイアウトやICOCAカードの開発もいろいろ研究され、人間の欲求、行動パターン、視覚動向などを情報収集して、個人情報かしましいと言いながら、便利な所には案外無関心でその協力のおかげでさらなる行動パターンが解り、多くの情報が提供されているようです。コンビニのレイアウトがどこの店でもほとんど同一というのもこれらの情報のおかげということです。
また、芸術に対する感性も大切で、これが欠落していると研究は発展しない、芸術に再現性を与えれば技術になるとおっしゃっていました。
日本は、そういう意味では芸術の感度が低いのかもしれません。
例えば、現政権下で、理化学研究所が進めているスーパーコンピュータの開発に関して、行政刷新会議の仕分け作業でストップがかけられています。正に芸術感度の低いことが証明されたと言えそうです。
芸術オンチの国会議員がやりそうな事で、日本の科学技術がまた一歩後退し、世界から取り残されるのでは、と危惧してしまいます。
石黒先生のお話を伺っていると、もっと積極的に国家予算を計上し取り組んでいかなければ、と痛切に感じた次第です。
それにしてもロボット工学はどこまで進化するのか、非常に楽しみに感じられます。
人間を超えるロボットが生まれることはまず無いでしょうが、SFやマンガに見られるような、人間社会に溶け込み、生活の場で一緒に過ごすことができるようになる、それがそう遠い将来では無いような・・。
そんな思いにさせられた、ファンタジーあふれる講演でした。
T.Ono