最近読んだおもしろい本

毎年この時期はなんとなくきぜわしくバタバタの状態ですが、そんな中、ちょっとおもしろい本を見つけたのでそのさわりをと思っています。

はじめに「犬から見た世界」
著者はアレクサンドラ・ホロウイッチさん、アメリカ人で犬の認知行動学の研究者、ニューヨーク・タイムズベストセラー、ノンフィクション部門第一位の作品、なかなかたのしく、おもしろい内容です。
犬であることはどういうことか?
犬といっしょに生活を共にして、いろいろな経験、視点から観察しくわしく、それでいて楽しくおもしろい作品で、犬を一度飼ったことのある人ならうなずけること多々あると思います。
私も昔ですが飼っていた時のことを思い出して、そういうことがあったな〜、と納得しながら読んだ次第。
犬はオオカミが進化したものか、犬がキスをしてくるのはなぜか、いつから家に属するようになったのか、犬種によって行動が違うのは、等々興味が尽きない。犬の能力のすごさ、特に鼻の素晴らしい感覚にびっくり、また犬の眼の不思議、犬の超能力、人の心を読むことができる、犬は利口だ、散歩の折の行動についての観察、研究とまだまだ沢山の犬の魅力が語られている。
ほとほと感心し、また驚きづくめのまことに楽しい内容です。
ここでは書きつくせないので関心のある方はぜひ一読を!

つぎに「大地の咆哮」
著者は元上海総領事で約14年勤務された杉元信行氏、これまでの体験から中国を観察し、多方面から中国の状態を赤裸々に綴っている。
まあ、ひどい国だということが、いや国ではなく一党独裁の集団と言った方が良いかもしれない。
読後、日本に生まれて良かった、日本人で良かったと思わず叫びたくなる。
いま世間で言われていることや、現実を垣間見ている事がまさにここに表現されている。
なんともすさまじい集団(国家とは思えないのですが)だと再認識させられる。
中華人民共和国中国」の現体制と「中国人一般」を同一視しないことが肝要である、としている。
格差社会や差別、貧困社会、まさに農村の悲劇が実感される。
共産党の維持のためなら何でもあり、のような体制のようで信じがたい。
しかし、組織としては約8000万人の党員による恐怖政治らしき様態で、密告社会が常態、最近紙面で報道されているように幹部の腐敗が当たり前のようで粛清監視のための機構ができたらしく、活動しだした様子。
わが国からのODAについても中国人民に皆無と言っていいくらい伝わっていないようで、わが国が援助した施設や設備についての説明がほとんどされず、いくらそのことを申し入れても埒が明かないとのこと。
これらの費用や寄付等どこえ消えてしまうのか不思議のクニのようです。
中国人民が我慢しなければならない理由が先述の監視機能があるためらしい。
わが国に対し敵対感情を煽り人民の関心を向けさせることが党の延命につながると言われるのは至極と言える。
世界の国々からいつになったら“大人の国”として信頼を得られるようになるか、まだまだ未開発のまま現体制で走るのか予断は許さない。
過去には文化、文明の先達として高い評価を得ていた時代があったのに歴史にその栄誉を捨ててしまったのは惜しい。
思うに、過去、現在を俯瞰した内容に人民の悲劇を感ぜずにはおられない。
しかしながら実力はあるはず、いつか素晴らしい国家として世界に認められるようになることを願いたいがいかがなものか。

最後は「脳はバカ、腸はかしこい」
著者は藤田 紘一郎名誉教授、寄生虫学、感染免疫学などで著名な先生で私も多数の著作を読みました。
いつもながら傑作で、最初から最後までへえ〜、ほんとかいな、なるほど等々思わず読み終えてしまった。
この本は腸が生物を進化させ、頭はその後につくられた。
だから原生生物は腸で物を考え、生命を維持している、人間の起源はこれらの生命体から生まれたらしい。
潔癖性が日本人にアレルギー症状を招き、ファーストフード中心で糖質の摂取過多によって腸を大切にしないからセックスも弱くなった(これが少子化の原因かも・・・)、ダイエットが続かない理由、脳の無いミミズのすばらしいセックスとその生態、腸内細菌の不足がイライラやキレやすくなる、腸内細菌を増やすには糖質を減らせ、また免疫システムを扱う腸が人類を守るために「うつ」を誘発した、腸を大切に可愛がれば脳が良くなる等々蘊蓄満載。
英才教育は子供をダメにするの項では、ご本人の子息の体験から語っておられる。子供の脳を正常に発達させるには「感覚的経験」が大切だそうで、小さな時からの勉強より自然と多く付き合うことが重要だということ。
個性や才能は3〜15歳の間に作られるということなどなど。
よく言われているように糖質や脂肪(オメガ9─オリーブ油、ひまわり油、ピーナッツ油等、オメガ6系─コーン油、ゴマ油、大豆油、クルミ油等)がある。
オメガ系6やオメガ系3は体内で作れないので摂取する必要がある。
オメガ3系には亜麻仁油、しそ油、えごま油、イワシやサンマの魚の脂等がありる。オメガ系6脂肪酸を取り過ぎることによって「うつ病」が増加していると考えられている。
オメガ系3、これが不足すると脳神経シナプス機構と情動行動に有害な結果がでているとフランスで発表されている。
脳が喜ぶ糖質はうつ気分を誘発、ガンにかからないようにするには適度な運動と身体をあたためること、スローミイラ現象(過剰な糖タンパク質摂取によってゴミたんぱくができ、その結果皮膚がたるみ、神経も侵されだんだんミイラのようになる)から逃れるのには、ゴキブリも食べないマーガリン、いつまでも腐らないフライドポテトなど恐ろしいお話も。
専門的な内容もやさしく、分かりやすく解説されており、最後までタメになる
健康本です。

参考 
「犬から見た世界」
発行 (株)白揚社 
著者 アレクサンドラ・ホロウイッチ 訳者 竹内 和世
定価 2500円(税別)

「大地の咆哮」
発行 PHP研究所
著者 杉本 信行
定価 1700円(税別)

「脳はバカ、腸はかしこい」
発行 (株)三五館
著者 藤田 紘一郎
定価 1200円(税別)