仕事の渋滞・解消の法則

先日、表題の講演会に参加、その内容の一部ご紹介です。
講師は車の渋滞を研究されている東京大学先端科学技術研究センター教授で
NPO法人ムダどり学会会長の西成 活裕氏。
数学物理学専攻。現在は渋滞学を研究されているそうです。
なぜ、渋滞が起こるか?
広い道から細い道になるとそこで混雑、そしてその道が広くなると解消する、あたりまえのことですがさて、渋滞の定義とは?
交通量と密度の関係を考えるとよくわかる。
密度   台/km
交通量  台/5min
高速道では5分で200台しか通せない。
臨界密度は25台/km
これは車間距離が40mということ。
これ以上密度を上げると渋滞が起こる。
人間の場合、臨界密度は1.8人/㎡
1㎡に1.8人までならスムースに動くことができる。
アリは決して渋滞を起こさない=すなわちこの臨界密度を良くわかっている。
渋滞は「間」が大切でこれによりスムースかどうかの分かれ目。
「人は1秒 車は2秒」このくらいの間隔をあけて前を注意すると渋滞は起こらないということ。
確かにこのテンポを維持(前の人の歩く1秒後に足を運ぶ)するとぶつかることが無い。
それでは仕事もこんな風に渋滞が解消できるのか。
仕事の渋滞の法則
仕事密度=仕事量/期間
単位時間当たりの仕事の量がどれくらいかを見極める事が大切。
ムリ、ムラ、ムダを無くすトヨタ方式がいい例である。
無駄の定義
短期的か、長期的かによって無駄かどうかの判断が異なる。
人によってこの定義はそれぞれあり難しいがその判断基準が期間であり重要度である。3pの共有化が重要でこれにより基準が変わる。
・目的を定める (Purpose) ─ この仕事はなんのため
・期間を定める (Period) ─ いつまでに仕上げるのか
・立場を定める (Position) ─ 誰からお金をもらっているのか
仕事にはムダが無いに越したことは無いが、しかしそのムダをゆとりに変える事が大切。
一見無駄と思えることを科学的なゆとりとしてとらえることが重要である。
今、あまり効果的でない─目的ありであえてマイナスをとる─が将来高い確率でプラスになるようなムダ(ゆとり)が必要。
例としてバケツリレー理論
バケツでタンクに水を満たす場合、バケツに満杯にして運ぶ方が速くなると考えるのが普通だが、実際にはそうするほど遅くなる。
最速方法はバケツに入れる水量をバケツの70%がベスト。
(これも計算と実験で証明できているとのこと)
効率のベスト=科学的ゆとり
ワークフロー(流れ)を止める原因は?
自分   探す時間
相手   待つ時間
現場でこのことが多くないか。言われてみればそんな気がします。
渋滞の原因は様々ですが日常業務で改善できる事柄が結構あるはずなので
“なぜ”を常に意識していくと解決されていくのではないか、と言うお話しでした。