どこが医食同源?

最近、食の安全がやかましく言われている。
あるコラムを読んで笑うに笑えない中国のジョークを見つけた。
「この国で最も遠慮深いのは食道の料理人だ。客が『一緒に食べよう』と言っても決して口にしない」
今、中国で流行しているジョーク。
料理人が客の申し出を断ったのは遠慮ではなく、自分が作った料理がいかに危険かを知っているためである。
中国でも食品の偽装や汚染が深刻化しているかを物語っていると言える。
また、こんな話も。
先ごろは、江蘇省でネズミやキツネを羊肉に偽装していた精肉業者が摘発され国際的なニュースとなった。
この件も当の中国人は意外と冷めているようで、「何の肉を食わされているのか分からない」という諦めに似た覚悟を常に抱いているからであろう。
食品偽装も家庭でも行われているようだ。
スーパーでは「牛肉精粉」なる魔法の粉が売られていて、これは合成着色料と化学調味料の効能により、豚肉にかけると見た目も味も牛肉そっくりにしてくれるというシロモノだ。
数年前からは下水を精製して作った食用油「地溝油」の流通が社会問題になっているという。
マンホールのふたを開け、下水の表面に張った油膜をひしゃくですくい、バケツいっぱいにしてその場を立ち去った。
酒もたばこも飲まない日本の男性駐在員が3年後に帰国して健康診断を受けたところ、極度の肝機能障害に冒されていたそうだ。思い当たるフシと言えばほぼ毎日ボロ屋台で食事をしていたことらしい・・・・・。
中国の食を取り巻く環境は悲惨の一言。だが、日本人も無縁ではいられない。
(頂門の一針 6月号 コラムより抜粋)