「土蜘蛛」

本当にひさしぶりにお能を鑑賞する機会をいただいた。
前回、狂言会のお誘いを頂いた経済同友会会員の方からふたたび声をかけていただき参加させてもらった。
今回は山本能楽堂大阪市街地中央区にある木造建築の由緒ある能楽堂で、平成18年12月に登録有形文化財(建造物)の指定を受けた。
本町通りから少し北に入ったオフィスビルの一角に位置し、街並みに溶け込んでいる。しかし、一歩中に入るとなかなかどうして歴史を感じさせる舞台がどっしりと重量感を漂わせている。
客席(見所)は1,2階とも桟敷席の舞台で落ち着いた雰囲気がある。
今回能では初めての試みとしてLED照明を取り入れ、演出効果をたかめている、との説明があった。
確かに照明による色合いや明るさの変化が舞台を一段と華やかに演出している。
本日の演目は「土蜘蛛」。
当主からはじめに演目の内容や能に関するお話があった。
能は語りことばが分かりにくく、また動きもゆったりとして話の筋も難解なこともある等で睡魔が襲うことがあります。これに抵抗して舞台を見ようとするとますますわからなくなるのでその時はさからわず自然体で休んでもらうのが一番いいことです、との話があり場内大爆笑。
今回の演目は源頼光の武勇伝を題材にした舞台能。
武士の棟梁・源頼光が病気で臥せっていると侍女が薬を持って見舞いに駆けつける。夜になり、まどろむ頼光の枕元に怪しげな僧侶が現れ、千筋の糸を投げかけて頼光に迫る。
その時、枕元にあった源家の名刀 膝丸(ひざまる)を抜き放ち僧侶に切りかかる。逃がしはしたものの手負いにしたことを話し、それが蜘蛛であることを
告げ、警固の武士に退治を命じる。斬りつけたのが蜘蛛であることからこの名刀を「蜘蛛切」と名付ける。
侍臣独武者(ひとりむしゃ)に命じ、蜘蛛を退治するという物語。
きらびやかな衣装と和紙でつくられた千筋の糸を投げる蜘蛛と戦う場面が見もので、その糸がうつくしい場をつくりだしている。
この「土蜘蛛」は能の中でも割合動きが活発で、眠気を誘うことなく鑑賞できる人気の演目のようです。
お能に興味のある方は下記のURLにアクセスしてみてください。

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