鰻谷

心斎橋の通りに鰻谷と言うところがある。この通りの名前が心斎橋にあるのが不思議に思えるが,なにわの町は八百八橋と言われるように川に架かる橋の多さで有名。この川からウナギが獲れたようでそこから名が付いたというほんまかいな、というお話。
落語にこんな話があるのをご存知ですか。
物知りのご隠居さんにものを尋ねに来た長屋の熊さん。
ウナギというのはなんでウナギと言うようになったのか、教えを乞う。
「むかし、鵜が川で魚を獲っていた時にヌルヌルした長い魚をくわえたはよいがなかなか呑み込めない。鵜が難儀している、鵜が難儀して・・、うがなんぎ・・・、それで“うなぎ”と言うようになった。わかったか。あまり余所でいいなや。」
この話とは別に以前ご紹介しました“米朝ばなし”上方落語地図にこんな話があります。
「昔はウナギを食べなかったというようになっているが、万葉集にも夏バテにウナギを食べたら良いという歌があるらしい。
昔はウナギをノロと呼んで食べなかった。ノロノロしているからでウナギとはいわなかった。大阪五人男(侠客連)でなかなかの悪質な暴れ者がいた。
この五人がもめごとで仲裁、手打ちの式をする。その席に選ばれたのが鰻谷にある“ひしまた”という料理屋。この日はあいにく大しけがつづき不漁。
そこで川にノロがぎょうさんおる。魚というたらあれしか無い、ということでそれを料理。料理方法も分からず小骨を抜いて付け焼きにしてだしたらこれが美味。大人気となりおかわり、お代わりと催促。
お内儀、お内儀おかわり、といってこの魚を食べたのでオナイギ、オナイギ、オナギ、ウナギ・・・となった。
この料理が“ひしまた”で始まったので魚へんにひ(日)し((四)また(又)、
つまり曼をつけて「鰻」がウナギという字になりました。
じつにあほらしい話のようですが、今は演じる落語家はおりまへん。」
落語ならではのこっけいな話、話のネタにいかが。