蛍の光

早や3月、今年も卒業シーズンが到来。式典はいつもながら女子学生のあでやかな振袖、袴姿が会場にあふれることと思う。
最近の卒業式ではほとんど歌われていない“蛍の光”。
今日の産経新聞産経抄にこの歌に関連した記事が掲載されていた。
もともとスコットランドの民謡に日本の歌詞をつけたもの。
この歌詞の1,2番はよく知っているが4番まであるというのを初めて知った。
文部省の小学唱歌集を調べると確かに戦前まではあったが、戦後はこの3,4番はほとんど歌われなくなったようだ。
下記が1〜4番までの歌詞。目を通してみてください。

ほたるの光、窓(まど)の雪。
書(ふみ)よむ月日、重ねつつ。
いつしか年も、すぎの戸を、
明けてぞ、けさは、別れゆく。

とまるも行くも、限りとて、
かたみに思う、ちよろずの、
心のはしを、一言(ひとこと)に、
さきくとばかり、歌うなり。

筑紫(つくし)のきわみ、みちのおく、
海山(うみやま)とおく、へだつとも、
その真心(まごころ)は、へだてなく、
ひとつに尽くせ、国のため。

千島(ちしま)のおくも、沖縄(おきなわ)も、
八洲(やしま)のうちの、守りなり。
至らんくにに、いさお しく。
つとめよ わがせ、つつがなく。

そしてこの抄に以下のように書かれている
ここまでくればわかる通り、単なる「卒業式の歌」ではなかった。幕藩体制から新しい国をつくり始めた明治初期、若い人の国民意識を育てようと作られたのである。4番など国境の護りに赴く「わがせ(自分の兄弟や夫や恋人)」を送り出す意味とも受け取れる。
だが戦後この3番、4番はほとんど歌われなくなり、忘れ去られていった。
例によってその歌詞が「平和国家の唱歌」にふさわしくないと嫌われたからだろう。1、2番も卒業式からほぼ姿を消し、パチンコ店などの「閉店の歌」と間違われるようになってしまった。

そう言えば“仰げば尊し”の唱歌も懐かしいがほとんど聞くことがない。
いい歌が消えていくのはもったいない気がする。